2

3/7

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
 長い説教を聞いた後、武市がテントを張って寝る準備をしていると、遠藤長太郎が申し訳なさそうに謝りに来た。 「先生がいなくなった時、俺、早く気付いて荷物を先生に返せば良かったんだ。なのに俺、調子に乗ってさっさと進んだから……」  気にするな、と武市は笑った。本当に、長太郎が気にすることではないのだ。重要なものを自分で持たず、生徒の好意に甘えて長太郎に預けたまま、本軍を離れてしまった自分に責任があるのだから。  長太郎の、黒縁眼鏡の奥の瞳が元気になったのを見て、武市は安心した。いつも元気に駆け回っている生徒が落ち込んでいる姿は、見ていて気持ちの良いものではない。その原因が自分にあるのなら、なおのこと。  ……ただ、遠藤真帆の、武市に対する評価はかなり下がってしまったらしく、元々あまり自分に好意的ではなかった生徒ではあったが、その件をきっかけに睨まれるような目で見られることが多くなってしまった気がする。 「思春期の女の子って、何考えてるか分からないよなあ、ホントに」 溜息とともにひとりごちていると。 「何ブツブツ言ってるんだ、おまえ? タヌキでも出たか?」 服部に突っ込まれた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加