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告白されたのもこっちで、振られたのもこっちなのに、何故「ひどい」と言われて泣かれてしまって、こっちが悪者のようになっているのか、さっぱり分からなかった。
付き合っていた時は、好きで毎日会いたかったくらいなのに、時間が経つにつれて、だんだん顔もおぼろげになってきている。
そんな苦い思い出を噛み締めながらカーテンのかかっていない窓からバルコニーを見ると、家庭菜園でもしているのか、プランターがいくつか並んでいるのが見えた。
奥の部屋のドアが閉まる音がした。服部が戻ってきたらしい。
テーブルに座ることなく、服部はそのままキッチンコーナーの方に向かい、しゃぶしゃぶ鍋の準備を始めたようだ。キッチン下の棚を開け閉めする音が部屋に響いた。
「何か、お手伝いすることありますか?」
リビングから、服部に声をかける。
「いい。客(ゲスト)は座ってろ」
とにべもない返事が返ってきた。
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