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同僚の服部誠に、この後俺の家で飲まないか、と声をかけられた時、時計はもう21時を回っていた。
「今から、ですか?」
東都防衛学院二年二組副担任の武市直也は、職員室の壁にかけられた時計を見やる。
6月も中旬。梅雨入りしたとのニュースを先週聞いたような気がするが、雨が降った日はほとんどない。
月曜日の授業準備も終わり、さあ帰ろうと席を立ったところ、三年二組副担任の服部に声をかけられたのだ。
生徒達はもうとっくに寮へ帰っており、他の教官達も帰り、残っているのは武市と服部だけだった。
「嫌ならいいんだけどよ」
どこか拗ねたような服部の態度に、武市は慌てて応える。
「ああ、嫌とかじゃないです、ただ、飲むには遅いかなー、と。服部先生、お疲れじゃないですか?」
「明日明後日、休みと思えば、疲れも吹き飛ぶ」
そう言って、服部は立ち上がり、軽く伸びをした。
服部が立ち上がると、武市がやや見上げるような形になる。
武市は、東都防衛学院中等部の教官の中で1番若かった。服部は武市より二つ年上だったが、同世代ということで一緒にいることが多かった。
東都防衛学院は、二○二四年に設立された全寮制の学院で、中等部、高等部とある。
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