第51話 【リミット 3|分《ぷん》】

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        な――――なにをしている。 ウワバミは、状況把握よりも、驚愕(きょうがく)で埋め尽くされていた。 やつの言動が―――駆けめぐる脳神経を駆使しても、わからない。 そもそも、どうしてこのような事態が起きているのか。 しかし、それすらも考える余裕はなく、 ただ、全身をたたきつけるすさまじい威圧に、耐うるしかなかった。 ぬああぁぁぁあああぁぁぁあぁあ――――ッ 羅巌は、全身全霊込めて咆哮(ほうこう)した。 この世のものとは思えぬ―――ケモノの“うめき”だった。 両手いっぱい広げ、ロケットの巨大な先端を全身で受け止めている。 先端だけでも、羅巌の数十倍はあった。 全身をかけめぐる重圧。 ひしめく骨盤。革靴は摩擦で擦りきれ、のろしのごとく煙があがっている。 足が、地面にめり込む。 からだが悲鳴を上げた。 それでも、羅巌ひとりが、天雷の矢を受け止めていた。 すると、徐々にロケットの勢いがなくなり、全身をたたきつける風も止みはじめた。 砂塵(さじん)が、ウワバミの頬をたたいた。 羅巌は、さらにぐいと両手に力を込め、全身を右にかたむけた。 ぐぐぐと、ゆっくり横にたおれる。 同時に――――天雷の矢もおなじ方向に倒れた。 軽い地震が、島を振動させた。  
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