45人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
「神は最後に、とてつもない三途への渡銭(わたしせん)をくれたもんだ」
ま―――それでもいいや、とウワバミの口端が吊りあがった。
天雷の矢はうねりをあげながら、ゆっくり真下へかたむいてきた。
電波塔の一部が、がしゃりと崩れる。
ごごご、と轟音をあげ、大気が圧迫される。
その威圧が、どんどん近づいてくる。
矢の先端は―――ウワバミは射していた。
どうすることもできない―――。
とてつもない振動がからだを伝う。
月弥は、迫り来るであろう終焉(しゅうえん)を予感した。
ウワバミと天雷の矢との距離―――約150メートル。
徐々に加速する神への制裁(せいさい)―――。
勢いが増してきた。
その距離――――10メートル。
刹那、
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ―――――ッ。
激しい衝撃とともに、それを反発する風圧が全身をたたいた。
ウワバミは、眼前の光景に、豆鉄砲を食ったかのごとく眼を見開いた。
目の前には、天雷の矢を正面から受け止める
“羅巌”のすがたがあったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!