第51話 【リミット 3|分《ぷん》】

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    「神は最後に、とてつもない三途への渡銭(わたしせん)をくれたもんだ」 ま―――それでもいいや、とウワバミの口端が吊りあがった。 天雷の矢はうねりをあげながら、ゆっくり真下へかたむいてきた。 電波塔の一部が、がしゃりと崩れる。 ごごご、と轟音をあげ、大気が圧迫される。 その威圧が、どんどん近づいてくる。 矢の先端は―――ウワバミは射していた。 どうすることもできない―――。 とてつもない振動がからだを伝う。 月弥は、迫り来るであろう終焉(しゅうえん)を予感した。 ウワバミと天雷の矢との距離―――約150メートル。 徐々に加速する神への制裁(せいさい)―――。 勢いが増してきた。 その距離――――10メートル。 刹那、 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ―――――ッ。 激しい衝撃とともに、それを反発する風圧が全身をたたいた。 ウワバミは、眼前の光景に、豆鉄砲を食ったかのごとく眼を見開いた。 目の前には、天雷の矢を正面から受け止める “羅巌”のすがたがあったのだ。  
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