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と、なかなか抜けないスコップを引っ張りながら訊いた。
「だから言っただろう。人間だ」
「人間? ――人間って、一体誰を?」
「うるさい! 黙ってやれ」
俺の一喝で、後輩はしぶしぶスコップを持ち直した。こいつは今まで、俺に逆らったことはないのだ。
もちろん俺に対して従順だから、というだけでは手伝ってくれるはずもない。
殺人、もしくは死体遺棄の共犯になるかもしれないのだ。だから俺は後輩のために、バイト代と口止め料と称して、多額の金を最初に見せていたのであった。
「そろそろハシゴがいるな。せっかく深く掘っても、上がれないんじゃ何にもならない」
「それもそうですよね」
「すぐそこに用意してあるんだ。持って来てくれないか」
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