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「あ、ありがとうございます……」
霊夢はお賽銭を入れてもらったことが相当嬉しかったのか、目をキラキラ輝かせながらそう言った。
この少年は突然の話題変更に少し戸惑いを見せていたが、とりあえずお礼をした。
礼儀はそこそこわきまえれるのだろう。
「あれ、あの人は?」
少年は目先を霊夢から先に向けた。
その目の先にいたのは、当然魔理沙だ。
転げ回って汚れた服を手でパタパタとはたきながらこちらに近付いてくる。
「おいおい霊夢……さすがに箒で面はないだろ」
「あー、こいつは霧雨魔理沙よ」
「ガン無視!?」
魔理沙の言葉をオールスルーして霊夢は少年の質問に答えた。
しかし、そんな扱われ方をして黙っていられるほど静かな人間でない魔理沙は霊夢を指差しながら声を張り上げた。
「私の頭にげんこつと箒面をした挙げ句、無視するなんてどういう要件なんだぜ!」
「全部アンタが悪いからでしょう!?
アンタは私に何か言うことがあるんじゃないの?」
「すごく……痛かったです。」
「いや、まず謝れや」
たくっとため息をしながら霊夢は言い、少年は……
――この2人、仲いいなぁ
などと思いながら2人にばれない程度に小さく笑っていた。
そして今度は魔理沙が少年に向かって質問をする。
「んで、霊夢に言われたが私の名前は霧雨魔理沙だぜ。
お前はなんて名前なんだ?」
自己紹介するの忘れてた……かと言うかの様に、少年は自分の失礼さに反省しながら軽く頭を下げながら自分の名前を名乗った。
「俺の名前は白上芽杜(しらかみめもり)です。
よろしくお願いします」
かなりの礼儀の正しさに、霊夢と魔理沙は、なんか真面目な奴だなぁ~っと思っていた。
やはりなんだかんだ息が合いそうな2人だ。
「んで、なんでこんなおんぼ……博麗神社に賽銭なんか入れたんだ?」
何かを言い掛けていたが、また痛い思いをしたくなかったのか、必死に口を止め、別の質問をした。
「ちょっと願い事がありまして、少しご利益があるかなって思って入れたんです」
「どんな願い事なの?」
「あ、それはですね……」
目を瞑りながら、少年、白上芽杜は堂々と自分の願い事を発表した。
「強くなりたいんですよ……俺」
これを聞いた霊夢、魔理沙は、一瞬時間が止まったかの様に固まった。
「「…………は?」」
そして声を揃えてそう言った。
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