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「――俺は、」
オズワルドの言葉の続きを聞くのが怖くて身構えるが、目が合った彼の笑顔は晴れ晴れとして――泣きたくなるぐらい、優しかった。
「あなたに仕える隊長ですよ?ユニフィア様が望むのなら、剣にだって盾にだって悪にだってなれます。……俺の理由も、あなたに認められてそばにいたいから、じゃあダメですか?」
「……いつか、後悔するかもですよ?」
「望むところっすね」
頬を伝う暖かいものに気づいて、私は思わず泣いていることに気づかなかった。
人は嬉しくても、優しいものに触れても泣くのだと、生まれて初めて、知った。
「あーもう……泣かないでくださいよー……、ユニフィア様に泣かれたら、なんか死にたくなるんですよね……」
「死にたくなるって、なんですか、それ。……オズワルドが優しいから泣いたんです、ばか」
軽口に軽口で返すと、どちらともなく笑い出してしまう。
私は汚くて愚かで弱いけれど、だからこそ彼の優しさを知れたのだとしたら。
少しだけ、そんな自分を好きになれるような気がした。
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