寂しい嘘

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次の日も、俺はいつものように授業をサボって中庭でうとうとしていた。 昨日はユフィに連れられて一時間だけ授業を受けたが、クラスで珍しいものをじろじろと見てくる視線が気に食わず、そのあとはすべてボイコットしてここで昼寝していた。 ……自業自得だけど、なんか俺の居場所って本当ここだけだよな……。 あんまりにも寂しい学生生活過ぎて、スラム街のギルドで働いていたときが懐かしくなってきた。 当時はしんどくてひもじくて早く逃げ出したいと思っていたけれど、あそこには友達もいたし今の生活より楽しかったかもしれない。 そういえば、あいつ……ローズ、だったっけ。 ギルドで一緒に働いていた奴で、妹に少し似てて可愛がっていた女の子だ。 あいつ、元気にしてるかな……。 ぼーっとしながらそんなことを考えていたせいで、俺は後ろから近づいてくる人影に気がつかなかった。
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