あなたがとても優しいので、私は少しだけ泣きそうになりました

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私は、とても汚くて、愚かで、弱い人間です。 いつから自覚していたのかは忘れてしまいましたが、はっきりとその現実をつきつけられたのは弟が生まれたときです。 皆はついに跡取りの男の子が生まれたと喜んでいたのに、私はちっとも嬉しいだなんて思いませんでした。 今までは私を立派な跡取りだなんて言っていたくせに、やっぱり男の子が生まれたらそちらの方がいいのじゃないか、なんて恨みを覚えたりもしました。 それよりも一番私が汚く愚かで弱いと自覚させられたのは、私はその男の子なんて生まれてこなければいいと呪ったのに――気づけば笑顔を浮かべていました。 「私、ずっと兄弟が欲しいと思ってたんです!えへへ、赤ちゃんって可愛いですねぇ」 自分の保身のために嘘をつく私は、彼女の目にどのように映っていたのでしょうか。 少なくとも、お人よしでどこまでも善でできている父親と違って、義母はその言葉が嘘で出来ていると気づいていたはずです。 ――私は気づけば、急いでその場から逃げ出していました。
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