あなたがとても優しいので、私は少しだけ泣きそうになりました

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「……男の子、ですか」 「はい、とっても可愛かったですよ」 お互い気のないやりとりを少しした後、少しだけ落ち着きを取り戻してきたのか、なんとなく呼吸がしやすくなる。 「――私はね、オズワルド。ずっと居場所が欲しかったんです」 罪の告白をするように語り始めた私の言葉を、オズワルドは目だけで促す。 こういうときに限って、彼はふざけてくれないのだ。 「跡継ぎになりたいと思った理由は、そうしないと皆から好きになってもらえないと思ったからなんです。小さい頃は、今と違って皆から認めてもらえませんでしたから……」 でもいつのまにか、ならないといけない理由から、なりたい理由に変わっていた。 「でも、私この街も人も本当に大好きなんです。大好きだから、私が守りたかった、必要としてもらいたかった……」 えへへ、と精一杯の強がりで、ずっと黙ったままのオズワルドに笑いかける。
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