青春したかった

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彼女の瞳に関する体質は、より彼女の美しさを際立たせていた。 それは彼女がまるで、西洋の精巧なドールに見える程だった。 とはいえ。 人間というのは見た目が全てではない。 もちろん性格というのは重要な要因であると、俺は思うのだ。 「おぉ!明日香ちゃん!」 先ほどの明日香の怒号と同じくらいの大きさで、それも耳元から、聞き覚えのある声がした。 思わず耳を抑えつつ目をやると、先程会ったばかりの明日香ラブだという不憫な先輩が笑顔で立っていた。 「誰、アンタ」 明日香は眉間にしわを寄せ、不快だとでも言わんばかりに先輩を睨みつける。 いつも人を惹きつけるその瞳も、今はどこか凄味を感じさせる眼光である。 「ははん、アンタがうちの冬紀シメた馬鹿ね」 冬紀というのは俺の名である。ただし明日香の物になった覚えはない。 「シメたってかちょっとお話しただけ……ん?」 不憫な、現在においては誰よりも不幸な先輩は目を白黒させていた。 「うちの冬紀って、え?こいつと付き合ってんの?」 指を差す。矛先はもはや弁明する気力も湧かずに憔悴して突っ立ってる俺だ。 もう一度念のために言っておくが、俺は明日香と付き合った記憶も甘酸っぱい事実も存在せず、明日香ラブ先輩にガン飛ばされるいわれなど無いことは明々白々である。
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