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-翌日-
「~♪」
鼻歌をしながら朝ご飯の支度をする。
「なんの歌?」
「ふぎゃっ・・・き、恭介いつの間に・・・」
「いつの間に、って言うか、結構前から。 あの玄関のところの紙、書いたのってゆうだろ?」
「あ、うん。 そう・・・あとでみんなに言おうと思ったんだけど。」
その紙とは、朝と晩御飯の時間を記入して、玄関前の掲示板に張ったのだ。
一応、連絡先も書いておいて、食べられない場合はここに連絡を、といった形で書いた。
「あんまり気合入れすぎて疲れても知らないぞ」
「それ、そっくりそのまま恭介に返します! 長く仕事したいからってこの寮に入るなんてバカみたい!」
「なにをゆう。 頭の良さではゆうに負ける気はしないぞ。」
「そういう意味のバカじゃないです。仕事バカってことです。」
「じゃ、ゆうも十分仕事バカだよ」
「えー?」
「だってその弁当、朝早くに起きて作ってるんだろ?」
「んー・・・まぁでも一人分作るのと三人分作るのとではいつもと大して変わらないし・・・」
「俺からしてみたら十分頑張ってるように見えるよ。」
ぽふぽふと頭をなでられる。
「むむぅ」
ずるいなぁ恭介は。 頭撫でれば僕が何も言い返さないの知っててやるんだもん。
声は出せないからキッと睨みつけてみる。
それを何と勘違いしたのか、恭介の顔がどんどん近くなっていく。
「お・・・おはよー・・・」
ガタッバタバタッ と音を立てて恭介が離れる。
「おっ・・・おはよ!//」
僕は居間に入ってきたひなた君に挨拶をする。
恭介は既に居間の椅子に座って、テレビを眺めていた。
遠目から見ても顔が赤かったので少し笑ってしまう。
「優さん」
「ん、な、何?」
「(いちゃいちゃするのもいいけど、場所は考えた方がいいよ?」
こそっと僕に耳打ちする。
み・・・見られてた・・・。
僕は気恥ずかしさに包まれながらもご飯作りを続けた。
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