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~初めての朝食~
「いただきまーす」
ひなた君がそう言ってご飯に手をつける。
「うん、朝はしっかり食べて栄養つけないとね。」
「・・・チッス」
将也君が少し遅れて食卓に来る。
「おはよう、もう少し早く起きないと本来なら遅刻するからね?」
「んなことどーだっていいだろ」
「どーでも良くないでしょ。ほら、ご飯用意するからそこ座ってて。」
「俺、朝は食わないから」
将也君が頭を掻いて言う。
「ダメです。 健康であることがこの寮の必須条件なんだから。」
「そうそう、せっかくの優さんの朝ご飯を食べないなんてバカだよ、ほんとっw」
へんっと鼻で笑って吐き捨てる。
ひなた君がはっとして口を押さえてる所を見ると、陰向君が言ったのだろう。
この二年間で人格の入れ替わりが素早く出来るようになったんだね・・・。
「あぁ?」
将也君が挑発を受けて少し頭に来たのか、怒り気味でひなた君を睨みつける。
「ちょっと陰向君、あんまりそういう挑発はしないように・・・。将也君も少しだけでもいいからご飯食べて行ってね?」
「・・・ちっ、めんどくせぇことになったな・・・」
この寮に来なければ・・・なんて言葉をつぶやく。
そう思われたのはちょっとショックだったけれど、この寮に来ること自体強制だったから、本人の意思を考えればこの寮のルールや生活習慣は馴染めなくて当たり前だし、面倒だと思うのは仕方の無いことだろう。
最初はこうなることは少なくとも予想はできてたし、スタートがだめでも最後はこの寮に居てよかったって思えるような場所でありたいな。
「はい、ご飯。」
「・・・」
将也君も表情は強張ったまま渋々ご飯を口にする。
「おかわりー!」
そんな将也君を隣において、元気に笑顔におかわりを宣言するひなた君。
なんだかおかしな風景に、少し笑って、はい、と返事をした。
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