234人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふざけてなんかないよー! それよりもふざけてるのはキミじゃないか。授業はさぼるわ学校で問題ばっかり起こすわ。」
「っるせぇ、てめえには関係ねえっつってんだろうが!!」
俺はついにムカついて、男だとわかったから、こいつを殴ろうとした。
「おっと」
その瞬間、俺は久しく空を見た。
「な・・・!?」
合気道。 そんな術を俺は始めて目の当たりにした。
投げ出された体は地面に横たわる。
しかし、不思議なことに痛くは無かった。
「見よう見まねだけど、何とか使えるもんだねぇ、護身術としては♪」
「おま・・・何モンだ・・・?」
「ただの高校生です!」
「ふざけてんだろ・・・」
「キミはちゃんと授業に出て、喧嘩もやめるって誓いなさい!」
「なんでテメーにそんなこと言われなきゃなんねーんだよ!!」
「なんで・・・って、あの人なら同じことすると思うから。」
「あの人・・・?」
「『瀬川優』さん。 キミ、知ってるでしょ?」
知ってるも何も、氷憐高校創立以来、異例の美少女、いや、美少年として名高い、俺でも知っていたが、かかわる機会はなかった。
「あの人が将也を見たらきっと同じことするだろうなって。だから、僕も同じくキミを正そうと思ってるの!」
「なんでだよ。」
「頼まれたから。 優さんがいない間、頼むねって。」
「・・・チッ、だからってテメーの言いなりになんかならねーよ。」
俺は服に付いた砂を払ってその場から離れようとする。
「あ、ちょ、どこいくの!」
だがその行為虚しく、奴は俺の傍を付いて回った。
次の日も、また次の日も、奴は俺にずっと付いてきていた。
そのうち、周りのヤンキーどもに、俺がなよっちいガキに負けた、ということが広まり、俺に楯突く奴らは日に日に少なくなっていった。
最初のコメントを投稿しよう!