234人が本棚に入れています
本棚に追加
―体育館
「えー以上で、担任教師の紹介を終わります。 次は新任教師の紹介です。」
理事長が淡々と突き進めて行って、ついに新任教師の話がきた。
僕は体育館裏から入り、今は人気のない場所にいる。
「今年度は一名の新任教師です。 三年生の皆さんが知っている人だと思います。」
みんながざわざわとする。
隙間からちらりと教師陣を見ると、汐里、恭介、日向、斉藤さんが誰だろうと会話しているのが見える。
「えーそれでは紹介します。 どうぞ。」
「はい」
僕はゆっくりとステージに歩を進める。
すると、ざわざわと言う声が静まる。
「えー、新任教師の、瀬川優さんです。」
理事長がマイクのある教団から離れ、僕に話すように促す。
「えーっと、家庭科の新任教師と、新しく設立された氷憐寮の寮母を努めます、瀬川優です。
僕はこの学校を2年で卒業し、東京の専門学校で勉強してからここの教師になりました。 まだ皆さんとは年も近いですが、精一杯頑張ろうと思います。」
ちら、っと恭介の方を見ると、呆けたような顔で此方を見ていた。
にこっと笑って、もう一度生徒の方に顔を向ける。
「ちなみに言います。 こんな格好してますが、僕は男です!」
断言した。
ちなみに今の服装は私服。
上から白いキャスケット帽子に黒のニットセーターに白いTシャツ、白のショートパンツ、白黒のオーバーニーソ。
中性的な服装。 理事長は「女の子になりなさい」と言ってきたが、断固拒否したらならばと中性を要求してきたのでこのような格好に。
でも恭介の前では僕は女の子で良いかなって、最近なら思えてきた。
むしろその方が、恭介も喜ぶんじゃないかなって。
最初のコメントを投稿しよう!