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「そういえば恭介は?」
「あぁ、あいつは忙しい奴だからな…部活顧問に担任に三科目教師だし…」
「えぇっ!?そんなになってたの!?」
「理事長のお気に入りだしな…っと、俺もそろそろ仕事せにゃ。クラス受け持つことになったからな…やれやれ」
日向はめんどくさいを連呼しながらも職員室を離れる。
「それにしてもユウ変わったわよねー」
「な、何さ急に…」
「大人っぽくなったわよね、相変わらず童顔で小さいけど」
「むぅ…後付けの言葉が気に食わない…。」
僕はほくそ笑む汐里を前にして、今後の授業の進め方をノートにまとめて考察した。
―昼
「………」
カリカリとペンの音を走らせる。
ここら辺で調理実習した方が良いだろうか?
それとももう少し勉強してからが良いだろうか?
そういう事を考えていると楽しくなってくる。
「ユウ~お昼食べに行きましょー」
汐里が職員室の扉から頭だけ出して手招きしている。
「あ、うんー。」
さっきまで僕の前のデスクに居たような…あ、でも保健室に居なきゃならなかったから気付かないうちに出ていっていたのかも。
自己解決して職員室を出る。
「……ぁっ」
「お…おう。元気だったか?」
死角に立っていたのか、恭介が居た。
「うろうろしてたから会長も昼飯に誘ったのよ。」
汐里、ナイス!
帰ってからまともに恭介と話してなかったから…。
「恭介、身長伸びた?」
「あぁ、少しな。ゆうは縮んだか?」
「縮んでないから!?もう…恭介のばか」
「はは…そう言われるのも懐かしいや。」
恭介が笑う。
そんな笑顔を見てると、僕も自然と笑顔になる。
「はーい、まだ校舎内だから公私混同し過ぎないでよねー。」
汐里がグイグイと僕達の背中を押す。
「そうだな、日向もさっさと連れて行くか。」
恭介はそういうと僕の手を握って歩いた。
恭介の手は、昔と何も変わらずに、温かかった。
というか校舎内で手を繋ぐのはいいんだろうか…?
…僕は、気にしないことにした。
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