ただいま。

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「ほら、日向」 「ん? え"!?」 日向がむせる。 まぁ、なんでむせたかって、普段は絶対にこんなことをしないであろう汐里が、箸で自分のオカズを掴んで日向の口元まで運んでいた。 そう、これはいわゆる「はい、あーん」での男子悩殺作戦(汐里が前に大々的に発表していた命名)だった。 「ほら、冷めるから早くしなさい。 いらないの?」 「あ・・・いや、もらう。」 日向は滅多に染めない頬を少しだけ染めて、汐里の箸からおかずを食べる。 「おいしい?」 「お・・・おう、うまい//」 「よかった。ほら、さっきあたしももらうって言ったんだからどっちかの頂戴よ。」 「え? あ、ほら、好きなほう一口食って良いよ」 日向がささっと料理を汐里に差し出すが、汐里がジトーっと日向をにらんでいた。 「う"・・・」 汐里はすごい。 伏線・・・いわゆるフラグの立て方がナチュラルかつスムーズすぎて悟られないように立てているのだ。 見習いたい。 見習いたいよその技能。 「ほ、ほら・・・あーん//」 「あーん//」 「熱いから気をつけろよ」 「ひゃーい・・・あっづ!!!!」 「だから言っただろ・・・」 「少しは冷ましてあげるとかいう考えなかったわけ!? この鈍感男!!」 「あぁ!? 人がせっかくお前のフラグ回収してやったのになんだそれ!!」 ギャーギャー怒りあう姿は、やっぱり昔のままだった。 あぁ、でもいいなぁ ああいうの。 楽しそう。 「恭介、あーん」 「ゆう、気持ちはありがたいがそれ豆腐だから、あと少しで崩れて落ちそうだから。」 「おっとっと・・・」 僕は豆腐を崩れないうちに自分の口に運ぶ。 「おいしー//ってちがああああう!!!!!!!」 恭介は、はははと苦笑いして僕をなでた。
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