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「いやいや。
君が歌いたいから歌ってるだけでしょ?
つか、ここはオッサンの聖地のスナックで、なよなよした歌を炸裂させるカラオケボックスじゃねぇよッ!・・・」
上手く言葉に出来ないが。
微妙に粘着性を感じる歌声に、一樹の中にイラっとした感情が生まれ、それにより一樹はレイヘカラオケセットを用意する様に頼んでいた。
この萎える様な、イラつく様なモヤモヤ感を即吹き飛ばすには、歌うしかないとも一樹は思えている。
何しろ酔っ払いに来てるのに、カラオケのお陰でちっとも酔えないのだ。
「おお~一樹さん歌うんですね」
レイは一樹にカラオケ端末を渡し、一樹は端末で歌う曲を検索する。
モヤモヤ感を即時吹き飛ばすのは・・・アレしか無い。
洋楽は邦楽に比べ曲数が絶対的に少ないけど、グラミー賞を取ったアレならば・・・
と、端末内の曲を検索していると程無くヒットした。
《HELL PRINCE THE PAIN》
一樹は端末をレイに渡し、曲を予約して貰う様に頼んだ。
予約を入れ終えたレイは、後ろのボックス席へマイクを取りに向かう。
「マイク持っていきますね」
「うん。
てか、カズ君歌うんだ?
私初めて聴くよ~」
レイヘマイクを渡す麻美は、多少驚いた表情を浮かべている。
そうこうする内に神村の歌は終わり、歌い終えた神村は興味深い表情で一樹の方を見つめていた。
「どんな曲なんですか?」
興味深げに尋ねるレイヘ一樹はニヤリと笑う。
「究極の音痴を炸裂させるから耳を塞いでてね」
一樹が告げると、液晶画面に今から歌う曲のタイトルが映し出された。
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