Episode.1 Introduction

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「やりぃ~ありがとうございま~す」 営業用とは思えない、心底嬉しそうな表情を浮かべる麻美は。 グラスにビールとトマトジュースを半分ずつぶち込み、ステアーで数回それを掻き回し、即席カクテルのレッドアイを完成させた。 「いっただっきまぁぁす」 共にグラスを合わせた後に、一気にグラスを空けた麻美は至福の表情を浮かべている。 「うわばみめ・・・」 一瞬で酒を飲み干した麻美へ毒吐きながら、一樹は何となく店内を見渡した。 黒の調度品で統一された店内は、中々お洒落でシックな印象を醸し出している。 この店のママは週末しか店に来る事は無く、他にもスタッフはいるものの、これまた週末に出勤する率が高いので、平日は実質的に麻美がこの店を切り盛りしていた。 空になった一樹のグラスへ麻美が酒を注いでると。 《カラン》 とドアベルが響くと共に、薄紫色のドレスに身を包む若い女が、両手にビニール袋をぶら下げながら店内へと入ってきた。 「お疲れ。レイちゃん」 麻美は優しく労う様にレイへ声を掛ける。 「いえいえ。 頼まれてたお買い物、一応全部揃ってると思います」 くるくる巻かれた髪の毛に、付けまつ毛が半端無いレイは、飲み屋よりもメイドカフェとかが似合いそな感じである。 「新人の人?」 初めて見たレイの雰囲気に多少戸惑いつつ、一樹は麻美へ尋ねた。 「うん。 一昨日からウチで働いてるんだ。 レイちゃんは20歳になったばっかなんだって」 麻美が優しくレイを見つめながら一樹へ紹介し終えると、レイはペコリと頭を下げた。 「おお~若いんだねぇ。 俺は城戸一樹ってんだけど、こちらこそヨロシクね。 てか、麻美ちゃんだけ飲んでんのも何だし・・・ 何か飲む?」 麻美が優しくレイを見守る気持ちが、何となく一樹は解る様な気がするし、一樹も自然と優しい笑みが浮かんでいた。 「夜のお仕事は初めてだけど。 よろしくお願いします。 あ!飲ませて貰えるんだったら、一樹さんが飲んでるお酒を頂いてもいいですか?」
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