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「おいおい・・・
俺はまだまだピッチピチなんですけど?
つか、お客さん来るんだ?」
テキパキと準備を行う麻美を見ながら、自分のボトルの減少率が低くなる事をちょっぴり喜ばしく思っている。
「私のファンが来るからね」
ニコリともせず、新たな客を迎える準備を終えた麻美は、レイの方を向いて溜め息混じりに口を開いた。
「レイちゃん・・・
神村君が来るからさ、そん時はカズ君の接客をお願いね」
「は・・・はい」
その様子を、酒をちびちび飲みながら見つめていた一樹は怪訝な表情を浮かべている。
「麻美ちゃん。
ファンが来るんだったら喜ぶ所じゃないの?」
「カズ君みたいな、飲んだくれオヤジだったら良いんだけどね・・・」
「オヤジオヤジ言ってんじゃねぇ~よ」
一樹は苦笑しつつも、麻美があんまり嬉しそうな様子じゃ無いのは、今から来るであろう客が、自分よりも遥かにむさ苦しいリアル系オヤジなのかも?
と漠然と思っていた。
そんな中。
ドアベルが《カラン》と音を立て来客を告げる。
麻美は深く深呼吸をした後、来客者を迎えるべく入口へ向かった。
「こんばんは。
麻美ちゃん元気だったかい?」
麻美が用意した席へ向かいながら、優しく声を掛ける男が件の神村なのだろう。
鮮やかな赤茶色の髪を、アシメ調にカットしたヘアスタイルが様になり。
一樹もすらっとした体型ではあるが、手の甲や二の腕には血管が浮きまくったゴツゴツした感じに対し、神村は無駄に血管が浮き出る事も無く、役者の様なシャープな身体である。
そして、色白顔の神村は女性がキャーキャー言いそうなイケメンであり、女性が嫌がる様な不細工には程遠い。
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