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「麻美ちゃんに会いたかったんだ」
自分の席へと座った神村は、麻美へ優しく語り掛ける。
「一昨日も会ったばかりじゃ無いですか?」
冷静且つ敬語で喋る麻美に一樹は少々驚きつつ、何となく麻美を見つめた。
さらさらした黒髪で線の細い顔立ち。
丸く大きな瞳に、高い鼻筋の下の唇は薄く瑞々しい。
すらっとした身体とホットパンツから除く白い脚。
改めて麻美を見ると、物凄くいい女に思える。
モデルとかでも行けるのでは?とも思える位だ。
自分の中での麻美は、酒好きなうわばみ娘位にしか思えて無かったが。
改めて見ると、神村程のイケメンがファンになるのも頷けた。
自分の目が《女》を見る目になっていたのだろう。
「麻美さんって凄い美人ですよね~」
神村の接客中の麻美を見ながら、レイは一樹へ声を掛けた。
「そうだね。
つか、レイちゃんも滅茶苦茶カワイイと思うよ?」
タバコの煙を燻らせながら、一樹はレイヘ向き直りニヤリと笑う。
「もうッ・・・!
全然真剣味が無いんですけど?」
「いやいや。
めっちゃマジなツラしてるでしょ?俺」
「ニヤケまくってますッ!」
新人レイにツッコミを入れられた一樹は苦笑を浮かべている。
そういった、色気も何も無い馬鹿話で二人が盛り上がり始める中。
麻美と神村は後ろのボックス席へと移動し、トイレへ行った神村の為におしぼりを取りに来た麻美が、軽く溜め息を吐いていた。
「いいなぁ~
こっちの宴会に戻りたいなぁ~」
と真面目な表情で呟く麻美が、一樹には不思議でならないが。
「いやいや。
こっちは色気もクソも無い宴会ゾーン。
麻美ちゃんはイケメン君としっぽり楽しめばいいじゃん?」
一樹はいつものノリで麻美へ告げるが、麻美から返って来るのは溜め息だけである。
「それが・・・嫌なのよ」
その言葉を残し、麻美はおしぼり片手にトイレから出て来た神村の元へ戻って行った。
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