Episode.1 Introduction

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店内に微かに流れていたジャズ系の音楽が止まり。 真っ黒だった店内テレビの液晶画面には、カラオケの映像が映し出され、半年程前にチャートを賑わせていた。 《I for 愛 TAKA4 feat Mik@》 という曲とユニット名が表示されている。 有名グループ同士のコラボとかで話題になり、一樹も曲は何となく耳にしていた。 緩やかだが、跳ねる感じのドラムループにウリッツァの音が乗りイントロを奏で始める。 《雪の様に消えて行くね・・・ 二人きりの夜は》 という歌い出しから神村と麻美のデュエットが始まった。 神村の歌は上手いと一樹には思えている。 ピッチが外れる事も無く、声が割れる様な事も無い。 女性が好む様な甘い歌声は、昨今流行りの爽やかな感じなのだろうが・・・ 一樹には馴染みが無い分、甘過ぎる歌い方はちょっとだけ苦手とも思えていた。 爽やかに甘ったるしく熱唱する神村。 淡々とその歌に追随する麻美の歌声。 透明感がある伸びやかな感じで麻美の歌も上手い。 グラスのバーボンへ口を付けながら、一樹が何となく後ろのボックス席を振り返ると。 二人は指を絡ませつつデュエットに興じていた。 「うわッ・・・ てか、リアル系オッサンじゃあるまいし」 麻美が神村を苦手としてる事を知ってしまった事や、甘ったるく熱唱する歌声とか、イケメンとのマイナスの方のギャップだとか。 何となくそれを見た一樹は、どんよりとした気分になった。 そうこうする内にカラオケは終了し、麻美やレイの拍手が起こり、一樹もつられて拍手を送った。
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