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「東馬のオッサン!! 大変だ! 人が倒れてる!
女性で、何かひょろっとしてる黒い長髪の制服着てる女子高生だ!」
俺は、玄関先から東馬のオッサンを呼ぶ。
すると、オッサンは既に状況を読んでいたようで病室から車椅子を持ってきていた。
「あぁ、やっぱり力尽きていたみたいだねぇ、この娘がウチの娘さ。
初日から力尽きていては、先が思いやられるなぁ。」
この状況でそんな呑気に構えていられるのは医者の性分からか、それともこれがこの家では日常で当たり前の風景だからなのか、俺には探る余地もなく、ただ目の前の制服の女子高生を家の中へと運ぶ手伝いを坦々としていた。
その後、数分かけて家のリビングのソファーへ東馬娘と思われる女子を寝かせると、彼女は、もぞもぞと動きだし、そして、俺に顔を向けて、にやけ顔でこう告げた。
「貴方は……命の恩人です。
しかし、私の身体と引き換えにするとは……下道な男ですね!」
急に変な言いがかりをつけてくる目の前のにやけ顔の女子に対して、俺は、全力で否定した。
「何故、命の恩人ですと言っておいて変態呼ばわりされなきゃいかん!
明らかに善意の行動だ!」
「これが娘なりの愛情表現だから、気にせず話してくれ。」
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