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『さぁ、目覚めたまえ!』
頭のなかに響いた声に魘(うな)されながら、俺は目を覚ました。
部屋には、何処か清潔感溢れる趣と、薬品臭の芳香が薫る。
白いシーツに白い掛布。
カーテンが風に靡く。
外は日差しが強い。
日差しを遮るように反射した白い布の頻りが、ベッドを挟み込むように置かれている。
つまりは、病室だろうか。
部屋には俺一人。
看護士不在。
誰もいない。
広い部屋のはずなのに、俺一人がベッドに寝ていたことになる。
「ここ……何処だ?」
頭の中を、病室のように真っ白いカーテンが覆っているみたいだった。
その、白いカーテンが風に靡くように記憶が曖昧に甦る。
高校の入学式に向かったはずの俺。
部屋には俺一人。
あの機械の中での風景……。
自分自身に何が起きて、何によってここに隔離されたのか今は分からない。
ただ言えることは、記憶が白いカーテンが靡くように曖昧になっていると言うことと、恐らく、ここは学校ではないと言うことだったに違いない。
「目が覚めたかい?」
頭の白いカーテンが、突然バッと開かれる音が聞こえた気がした。
部屋の外から聞こえた声を辿ると、ソコには中年男性と思われる白衣を纏ったオッサン。
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