体をもとに戻したい件について

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 訳も分からないままの頭と身体で、俺は目の前にいる唯一の話し相手にそう尋ねた。  すると、オッサンは面倒臭そうに頭をかきながら、俺にこう言った。 「あぁ、なんだ、要は君は僕が機関から助け出して、ここに匿っているわけだ。 僕の名前は日野・東馬(ひの・とうま)。 ヨロシク頼むよ」  日野・東馬と名乗るオッサンの挨拶に対して、とても、医者には見えないやる気のなさを俺は感じていた。  ――頭のカーテンが鬱陶しく靡く。 「此方こそ、そう言えば俺の家や両親って?」  ――頭のカーテンから窓が見えた。  俺は重要なことに築く。  考えてみたら、家に丸一日帰っていない訳だ。  両親や家族に、これ以上迷惑をかける訳には行かない。  頭のカーテンを開け放ち、俺は、自身の記憶と言う窓を覗き込んだ。 「安心しなさい、君の両親には話を通しておいたよ。 当分コチラで預かることも含めてね。 まぁ悪いようにはしないつもりだから安心してくれよ、水梨・俊君」  窓を開いた記憶の先に、俺は自身の兆を見た。  そうだ、俺、水梨・俊(みずなし・しゅん)には帰るべき家があり、そこで帰りを待つ家族もいる。  冴えない平凡男子の代表みたいな俺ではあるが、顔付きと髪型だけはビジュアル系男子にこだわってきた、そんな普通の男子だった。
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