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事情はどうあれ、早いとここの状況を何とかしなければなるまい。
「俺、とりあえず何時になったら家に帰れるんだ?」
まずはそこから聞いてみることにした。
曖昧な記憶のベールの先が、今は完全に見えてきていた。
病室には、現在俺以外はこの医師のオッサンしかいない。
助けられたのだから、今度は釈放してほしいと言うのが俺の都合だった。
俺がそう訊ねると、オッサンは少し眉を細めて悩むように応えた。
「それには少し時間が掛かりそうなんだよなぁ。
何せ君にかけられた呪いは、他の魔術師が喉から手が出る程にレアな物でねぇ、一体どこの誰がこんなインブランツ(改造人間)を作り出したのか、こちらが聞きたいくらいだよ。」
頭の中のカーテンが後から被さった。
一瞬、オッサンがなんの事を話しているかがわからなかった俺は、そのまま疑問の言葉を返してしまう。
「インブランツ? なぁ、俺の身体は今どうなってる状況なのか説明してくれ。
さっきから妙に身体が震える。
いやっ振動? 響くって言うか?」
――頭の中のカーテンが、俺の視界を奪っていく。
俺の身体はどうやら正常では無いようだった。
先程からやけに身体中から、振動するような振るえる感覚があった。
とにかく、身体中プルプルなのだ。
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