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「あぁ、言うのを忘れていたな。
君の身体がそんな風になったのには訳がある。」
あっけらかんとしたオッサンのその言葉に、俺はそのまま耳をかすことにした。
「その訳って?」
「君の身体、スライムになったみたいだよ。」
「へ……? スライムってあのアールピージーゲームとかファンタジーとかに出てくるブヨブヨな生き物の事? それとも化学的な意味でのゲル化の事で?」
目の前のオッサンから急にそんな化学的な事を言われて困惑する俺に対して、オッサンはこのあととんでもない行動に出た。
徐に俺の手首を握ったかと思うと、そのまま力一杯俺の手首を握り潰した。
比喩的な意味ではない、現実に俺の手首はグチャッとなって、そのままベッドにボトンッと垂れ落ちた。
俺の頭の中で、白いカーテンに包まれた俺がレールを引き裂き地面に落下した。
地上は遠かった。
50メートルくらいあるかもしれない。
意味もわからず、俺は目の前に落ちている自身の右手首を眺めて、そして焦った。
自分の手首が握り潰されたことに対しての焦りと、この事態をどう対処すれば、俺の手首は元に戻せるのかを必死で探ろうとした。
まず血液は流れていない。千切れた箇所は、ドロドロに溶けた水飴のようになっている。
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