第1章

4/20
前へ
/32ページ
次へ
体育の授業や、学校行事だって制限されて、今まで、これが私の『普通』だった。 学校と病院、変わるがわるの生活だったためか、友達も少ない。 「そういえば、言ってたわよ。お掃除の西村さん。裏庭の花壇の福寿草、もう少しで咲きそう、って。」 病院の裏手に、小さな花壇があって、お掃除の西村さんが、趣味で手入れしている。私は、そこへ通うのが習慣になっていて、西村さんとお喋りを楽しむ。 西村さんも、昔からこの病院で働いている清掃員。私が、花壇へ通うことになってから、顔なじみになった。 「じゃあ、見に行ってこようかな…」 いい、気分転換になるんじゃない?と、言い残し、颯爽と部屋を出ていく百合子さん。 百合子さんは、『普通の女の子』になりたいっていう私の気持ちに、気づいているようで、いろいろと、気を遣ってくれている。 昔から、ずっと百合子さんだったから、私には、もう、友達のような、お姉ちゃんのような存在なのだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加