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福沢は八重子が胡桃や恵美達と一緒に話しているのを教室の扉の硝子越しに見て目を細める。
中田も八重子達を見てニッコリ笑う。
「おっ!
仲直りしたんだな、あいつら。
良かった、良かった」
福沢は鼻で笑う。
「つまんねぇ。
もっとこじれれば良かったのに」
中田は福沢の言葉に動揺する。
「お前、なんでそんなこと言うんだ!?
…もしかして、お前、大隈がいじめられるのを望んで小説読んだのか?」
「いや、それだけが目的じゃない。
もっとあいつに望むことがあったんだ」
「それって何だよ?」
福沢は中田の問いに答えずに教室に入っていく。
中田は福沢を見ていたが、黙って自分の席に座った。
福沢は笑顔で胡桃に話しかける。
「仲直りしたのか!
これからは八重子と仲良くしてくれよ!」
胡桃はうっとりと福沢を見つめ、頷いたが、八重子は福沢を胡散臭そうな目で見る。
…これは何かあるな。
仲たがいさせたの、こいつだし、そもそも私の世界を壊したいとか言ってたし。
胡桃達が去った後、福沢がすっと黒いハートの付いた白封筒を渡す。
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