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あれは確か…冬の日。
紺のジャンパーを着た坊主頭のよっしーが黒い長ズボンと靴に沢山の雪を付けて走ってきた。
そして彼が家のポストに何かを入れ、ニヤリと笑った。
私は嫌な予感がして走ってよっしーを捕まえた。
よっしーは驚いてひっくり返りそうになり、私が何とか引っ張り上げた。
よっしーはそっぽを向き、「ありがとう」と言う。
私の手を振りきって去ろうとする彼の手を私はぎゅっと握る。
「ポストに何入れたの!?
ここ、私の祖父母と叔父さんも同居してるから渡すなら私に渡して!」
よっしーは渋々ポストから花柄の封筒を出し、私に渡した。
封筒を開けると、一枚の紙が入っていた。
紙にはこう書かれていた。
☆俺を忘れるな!byよっしー☆
私は少しむっとしてよっしーに言った。
「何よ、これ?
謝りもしない訳!?」
よっしーは屈託のない笑みを浮かべ、声を弾ませる。
「あの話、良いと思ったから読んだだけだし。
俺にまた会ったら、いじめてくれよ!
それまで八重子は学校頑張れよ!」
私は走り去る彼の姿が見えなくなるまでずっとポストの前に立っていた。
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