プロローグ

2/3
前へ
/169ページ
次へ
 一月の始業式、冬休みが明けた教室は冬休み前のように賑わっていた。  「久しぶりぃ」  「元気だったぁ?」 という会話のやり取りばかり。そんな中ワタルは  「なんかさぁ、三年間って早く感じない?」 と、トモキに問い掛けた。トモキは  「言われてみればそうだな。あと二ヵ月もすれば卒業だしな。早かったよな。」  ―キーンコーンカーンコーン―  始業のチャイムが鳴った。まるで操られているかのように全員が一斉に席に着いた。間もなく先生が教室に入りホームルームが始まった。  担任の猪名川がこう切り出した。  「みんな、おはよう。あと二ヵ月でお前らは卒業だ!しかしなぁ、三学期はあっという間に過ぎ去るからな。後悔しないように残り少ない高校生活を送るように!はい。以上」  ―起立!、注目、礼―  号令係が号令をかけると担任は職員室に戻った。するとまるで解放されたかのように、教室内にはざわめきが戻った。  ワタルはトモキに  「なあ、卒業したらさトモキはどうするん?」  と、問い掛けた。その質問に対してトモキは  「とりあえず思いっきり遊ぶ。」  と、答えた。  「やっぱ考えることは一緒だな。」  ワタルはトモキにこう言った。  「あっ、1限目の授業が始まるぞ。」 トモキはワタルにこう言った。ワタルはケータイを開き時間を確認すると、 「やっべぇー、あの鬼センコーが来る!」。 トモキはワタルに 「早く席に戻れよ。」 そう言うと間もなく ―キーンコーンカーンコーン―  1限目の授業が始まった。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加