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「……すまない。ちゃんと君から連絡させるべきだったな」
「大丈夫です。遠野さんは気に入らなかったみたいですけど。もし、次に会うことがあれば、ちゃんとお詫びしておきます」
私が小さく息を漏らして言うと、室長はバツが悪そうにおでこに手を当てた。
「それが……今日、彼がここに来る予定なんだ」
「……え?」
固まる私に小さく頷いた後、他の二人にも視線を向けて、室長は言った。
「正式な発表はまだだが、今回の件で遠野社長は社長職を退任して会長として籍を置く。遠野社長は事実上、第一線から退くことになる。
そして、遠野社長の息子、渉さんが新たに社長として就任することになる」
「…ウソ……」
そう声を漏らしたのは私一人だった。
他の二人は息子の渉さんを知らないので、次期社長の候補に社長の息子さんというのはごく自然に受け止められることなのだろう。
しかし……
彼を少しだけ知っている私としては……
……彼が……社長!?
疑問を抱かずにはいられなかった。
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