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退院からしばらく見ていなかっただけなのに、母は急に老け込み少し痩せていた。
「雪ちゃん、ごめんね。本当は長男の嫁の私が看なきゃいけないのに…」
半年前に兄さんと結婚した5歳上の義姉さんのことは嫌いじゃない。
だが、母は当初からあまりいい感情を抱いているようには見えなかった。
今なら少しわかる気がする。
(嘘くさい…)
手を合わせ申し訳なさそうにしているわりに、言葉が軽く感じてしまう。
私の性格も、ひん曲がっているのかもしれない。
母は若年性アルツハイマーも発症していた。
『何時まで』なんて期限のない毎日が始まった…
最初の頃こそしっかりしていた母も、月日を追うごとに弱り小さくなっていくように感じる。
何らかのサービスを受けることも可能なのに、頑なに拒み私の名ばかり呼んだ。
「母さんは雪音と一緒に過ごしたいのだろう」
私にとっては、父の言葉もありがた迷惑にしか感じられない。
過去の母への反抗心と敵うことが出来ない母への妬みが湧き上がり、私の心で邪魔をする。
私は、なんと嫌な嫌な人間だったんだ…
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