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その日から私は、毎夜10時頃になるとコンビニへ行き、缶コーヒーを1本買うと椅子に腰を掛け飲んで帰る。
どう言うわけか、それが私の日課となった。
通ううちにわかったことは、あの店員さんが“寺嶋”さんと言う名前だってことと、毎晩ではないが遅く(夜勤なんだろうか?)まで働いている日があること。
そして、最初のイメージ通り“爽やかでとても感じの好い優しい人”だってこと…
だけど、だからって“どう”なるものでもない。
今はただ、私にとって癒しの時間にさらに癒してくれる存在だってだけ。
会話だって『こんばんは』『いらっしゃいませ』『今日はいい天気でしたね』…って程度で、他の会話が出来た日は赤飯を炊きたいくらい馬鹿みたいに喜んでる私。
それでも色気のある話やハプニングだって、ましてや泣くほど嬉しくなるようなサプライズだってあるはずない。
そりゃそうよね…私と彼は、ただの“客”と“店員”。
そのうえ、明らかに10歳前後の歳の差がある…
埋めようがない。
それでも、秘かに楽しんでたっていいよね?
顔を見るだけ…
挨拶するだけ…
笑顔が見れただけ…
たったこれだけだって、今日のご褒美、明日への活力になるんだから、缶コーヒー1本で安上がりでいいよね?
そんな自己満足な毎日だって、心が折れそうな時がある。
友人や身内の結婚や出産のめでたごと…
『次は雪ちゃんね』
悪気のない一言がグサリと刺さる。
「相手がいればね」
頬の筋肉が負けそう…
心のどこかで、僻み根性丸出しの嫌な私が叫び続ける!
(アンタはいいわよね!気楽で!)
ああ…嫌な嫌な私…
年々増えていく小さな歪みは、やがていつか爆発する。
きっかけなんて些細なこと。
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