3人が本棚に入れています
本棚に追加
一台の1967年モデル、漆黒のボディをよく磨き上げられたシボレーインパラが名もなき戦死者たちを祀る墓地の前に止まった。
運転席からは眼鏡を掛け、灰色のコートを着た痩せ型の男性が白百合の花束を両手で大事そうに抱えて降り立ち、
Dear Patriot(親愛なる愛国者)と書かれたひとつの墓標の前に歩みよるとゆったりとした動きで献花し、そして不意に口を開いた。
??「今日で君が亡くなってからちょうど半年になる。
長かったのか、短かったのか…僕には時間が止まってるように感じてね。
未だにキミがいないっていう実感すら湧かないんだ。
おかしな話だよね…覚悟はしていた筈なのに
あぁそうそう、サニーがまた新しい料理を覚えたんだ。
今じゃ、あの焦げた目玉焼きを作っていたなんて思えない程に上達してさ…
この前作ってくれたハンバーグなんて、君にも食べさせて上げたかったなぁ…」
そして彼は黙って愛おしそうに、また哀しげに墓標を見つめた。
??「それと、彼も…雷電が協力してくれたお陰で随分と様になってる。彼も同じ境遇だったからかよく打ち解けてるよ。
それで、これからケインはキミの後を引き継いでフィランソロピーとしての初めての任務に臨む事になったんだ。
今日はそれを伝えようと思って…
スネーク、どうかケインを見守っていてあげて欲しいんだ、キミの最初で最後の愛弟子の事を……」
彼は最後に墓標に敬礼すると踵を返し、振り返ることなく車へと乗り込んでいた。
最初のコメントを投稿しよう！