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空を飛んでいるようだった。自分の背中に翼が生え、青空を背に飛び回る。
宇宙飛行士が、一度その宇宙に触れたらどんなことをしてもその場所に戻りたいと願う。そんな話を聞いたことがある。
あらゆるしがらみから抜け出し、永遠とも呼べる宇宙を思うままに駆ける。
だが、それも一瞬の夢へと変わり、現実という非情が襲いかかる。
俺の体が重力の力に流され、地面に向かって落下を始める。
吹き抜ける風が俺の全身を容赦なく打ち付ける。風が強くなるにつれ、落下のスピードが加速度的に増していく。
「うわあああぁぁぁぁぁ!」
堕ちていく。その事に恐怖を感じた俺は手足をバタつかせ、どこかにある救いの糸を必死に探す。
…無論、そんなモノあるはずもないが…
……大丈夫、信じて…
…なにを
……あなたの可能性を…
……わたしが、手を伸ばすから、わたしが、ちゃんと支えるから…
温かな何かに触れた瞬間、俺の意識は闇におちた。
意識を失う直前、なにか笛の音を聴いた気がした……。
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