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「……は?」
今、俺はまぬけ面を惜しみなく晒しているだろう。それだけ、今の状況が俺の予想を遥かに逸脱していたからだ。
獸の姿はまさに異形の一言に尽きた。日本、いや俺の世界には決して存在しないであろう生物。
全長はおよそニメートルくらいだろうか。馬のような屈強な脚、胴体には蛇の鱗みたいなのが見え、ワニの尾に似た尻尾があり、その尖端には蠍のような鋭い針がはえている。
そして、こちらに犬のような顔を向け、ニッタリと、笑った。
「……ひっ」
俺の口から小さく悲鳴がでる。
…悪魔…
突如、脳裏に浮かび上がったソレは、間違いなく、そして明確な言葉となってその事実を身体中に、徐々に浸透してさせていく。
…殺される
そう頭が理解し、本能が警鐘を鳴らした直後だった。
獸の眼が捕食者を捉えた瞬間だった。
……逃げて!
その声が頭に響いた瞬間、俺と獸はほぼ同時に駆け出した!
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