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走る
この世界に来たときとまったく同じ速さで走っているのに、足が重い、腕が上がらない、息苦しくて呼吸が止まる。
…なぜ、俺は追われているんだ?
…なぜ、俺は命を狙われているんだ?
そんな疑問が頭に浮かぶ。でも、それは異世界においては普通なのだと気づく。
果たしてこの世界に法があり、人権が尊重される世界なのか?人を殺して赦される世界なのか?もし、そうであるならば……。
…とてもじゃないが生きられない。現代日本に生き、毎日なんらかの刺激を求める現代にとってここはあまりにも…。
「……ッ」
視界が滲み、涙が出そうになる。恐くて、苦しくて、もう何がなんだか分からなくて。
……怖い?
…ああ、恐い
……痛い?
…ああ、痛い
……生きたい?
「生き……たいっ!」
こんな所で死にたくない、死ねない。諦めたくない!俺は、生きる!生きるんだ!
そう自分の心を奮い立たせる。すると、不思議と体に活力が湧いてくる。その活力を糧に足を動かすスピードを上げる。
それと同時に背後にいる獸の動きが変化する。
…コイツ、間違いない
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