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ちょうどその時、窓の外でトンネルを抜けて朱色の列車が姿を表した。
否、雪を跳ね上げて駆けるのは、ラッセル車(除雪車)である。
「あ、ミンデンさん帰ってきたよ」
ロコのその一言で、スロは立ち上がった。
外套を着て、一面雪のホームに立った。
「スロ君、ご苦労様」
白手袋をはめ、敬礼するスロに声を掛けた若い機関士。
ミンデン・ウェスティン機関士だ。
彼は敏腕の機関士で、王室のお召し列車牽引機の乗務を勤めたほどだ。
※お召し列車※
日本と同じく、立憲君主制のスワロー国。
国民の象徴である、王族がご乗車される列車を『お召し列車』という。
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