132人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
「ミンデン先輩こそ」
スロは笑いながら、ミンデン機関士から、通票(タブレット)を受け取った。
「いやぁ、今日は吹き溜まりがなかったからよかったよ」
「にしては、遅れてますねぇ」
スロはミンデン機関士の横で時計を気にしている、ハウエッセー機関助手を気にしながらボヤいた。
その実、ラッセル車は5分遅れての到着だった。
「マジかっ…ヤバイなぁ、またエンドウ主任に叱られる」
あの主任、時間には厳しいからなぁ、とミンデン機関士はボヤきながら、腕木信号が青なのを確認し、スロットルを引いた。
「んじゃ、時間もあるし、行くわ」
「あんまり慌てて脱線しないで下さいね!救援に行くのは僕なんですから!」
片手を挙げて挨拶するミンデン機関士に、スロは冗談混じりに叫んだ。
「大丈夫、腕がある!」
そういって、ミンデン機関士は笑い飛ばした。
スロは、やれやれ、という具合に肩をすくめると、雪に埋もれたホームを歩き、構内踏切を渡って、ラッセル車と行き違いになるディーゼルカーの機関士に通票を渡した。
「やれやれ、ホームの雪、跳ねねば」
列車が去ったホームで彼は1人呟くのだった。
最初のコメントを投稿しよう!