如月アテンション Ⅰ

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――――――ビュッッ 顔の横を勢いよく風が通り抜ける。すごく気持ちがいい…。 黄「って、そんな場合じゃ…。 あーもうっ。とにかく逃げるっス!」 さっきの風でフードが脱げてしまったのだ。 すぐさま、観衆目線。 注目がいっきに集まる。 「え…。あれって…黄瀬涼太…?」 「うそっっ。どこどこ??」 「こんなとこにいるはずないって。」 「え?でもあれ…。」 黄「あ、あはは…。ど、どーも。」 ちょっと予想外の展開で顔がひきつり、苦笑いになってしまった。 「「「キャーーーーッ」」」 女性の黄色い声が後ろで聞こえる。とにかく今は逃げなければ。 黄「やっぱ、いつも通りの週末になりそうな予感…。」 あーもう。くそっっ。散々だ。 辞めたいな。 プロデューサーやマネージャーは いつもポスターとか、雑誌に 『満員御礼!』ってでっかく載せるけど。 実を言うとこういう風に追いかけられる日々。とってもブルーだ。 困る。目だって仕方ない。 黄「誰か交代してほしいっス!」 そうだ。交代したら俺は逃げられる。この世界から。 この世界は嫌だ。期待してしまう。俺は…。 黄(もうこっち見ないでほしいっス!!) …なんて言葉もポケットにしまおう。
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