15人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
――――――ビュッッ
顔の横を勢いよく風が通り抜ける。すごく気持ちがいい…。
黄「って、そんな場合じゃ…。
あーもうっ。とにかく逃げるっス!」
さっきの風でフードが脱げてしまったのだ。
すぐさま、観衆目線。
注目がいっきに集まる。
「え…。あれって…黄瀬涼太…?」
「うそっっ。どこどこ??」
「こんなとこにいるはずないって。」
「え?でもあれ…。」
黄「あ、あはは…。ど、どーも。」
ちょっと予想外の展開で顔がひきつり、苦笑いになってしまった。
「「「キャーーーーッ」」」
女性の黄色い声が後ろで聞こえる。とにかく今は逃げなければ。
黄「やっぱ、いつも通りの週末になりそうな予感…。」
あーもう。くそっっ。散々だ。
辞めたいな。
プロデューサーやマネージャーは
いつもポスターとか、雑誌に
『満員御礼!』ってでっかく載せるけど。
実を言うとこういう風に追いかけられる日々。とってもブルーだ。
困る。目だって仕方ない。
黄「誰か交代してほしいっス!」
そうだ。交代したら俺は逃げられる。この世界から。
この世界は嫌だ。期待してしまう。俺は…。
黄(もうこっち見ないでほしいっス!!)
…なんて言葉もポケットにしまおう。
最初のコメントを投稿しよう!