如月アテンション Ⅲ

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もぅ。嫌だ。 路地裏に隠れて、うずくまっていると、腕と顔の間からスニーカーが見えた。 誰かが俺を見つけたのだろうか? いや、それにしては静かすぎる。 俺は勇気をだして顔を上げた。 そこには、人が1人立っていた。 年齢は俺と同じか少し下ぐらいだろうか。 パーカーを着て、頭にはフードを被り、長ズボンにスニーカー。フードの間からは胸くらいまで伸びた髪が見えていた。そして、耳には白いイヤホンを着けていた。 男性…だろうか? それにしては妙にフードの間から伸びた髪が長い。 そんなことを考えていると その子が口を開いた。 キド「こんなところで何してるんですか?」 あぁ。 なんだ、失礼なことを思ってしまったっスね。女の子だったかぁ。 それにこの子、俺を知らないみたいだ。 黄「いや、別に何も。」 キド「見つからないようにかくれているんでしょう?僕と一緒に来て欲しい。」 なんだ、カメラマンか。 俺を連れ戻しに来たのか? 黄「俺は帰らないっス。1人でいってくれないっスか?」 キド「お前に用がある。ついてこい。」 しょうがないから、ついていくことに。後ろを追いかける。 すると大通りに出た。 黄「あの…こんなところに来たら…」 っておい、聞けよ!! …アレ?みんなこっちのこと見えていないように隣を通っていく。 まあ、いいか。 俺にとっちゃ好都合っス。 しばらく歩くと、アパートぐらいの大きさの部屋についた。 中に入ると、ソファーの上に人が1人。 こちらの少年は黒いパーカーを着ており、長ズボン。目は猫の目によく似ていた。 キド「おい、カノ!!なに読んでんだよ。コイツ、連れてきたってのに。」 すると、カノと呼ばれたその少年は顔を上げた。 カノ「おっ、キド。おかえり。」 キド「おかえり。じゃねーよ。」 ハハハ…とカノ(?)は笑うとこちら凝視した。 カノ「あっれー。モデルで有名な、黄瀬くんじゃん。」 キド「モ…デル………?」 キドは顔を真っ青にし、お前モデルだったのか?!という顔をこちらに向けた。 カノ「キド、知らなかったの?今、スゴい人気だよ。」 そういうとさっきまで読んでいた雑誌を見せた。
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