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僕達は今、イグニス王国の酒場にいる。
今日は天音も一緒だ。
相変わらず浮かない顔をしている天音。
大切な人を失うというのは想像を絶するほど辛いだろう。
僕が無闇に言葉を掛けるのは軽率すぎる。
でも何かをしてあげたい。
落ち着いてなんかいられない。
ゲームに入った時の笑顔。
あの時は天音は元気そのものだった。
だけど現実世界に帰って……
この問題は刑事である室岡さんに任せた方が良さそうだ。
「とりあえず天音のレベルを上げないとな。」
室岡が口火を切った。
「そうですね。」
今まで天音は敵との戦闘がないダンジョンに挑み、その報酬として帰還に必要なレベルを稼いでいた。
しかしこの世界で生きていく為にはいずれ戦わなければならない時が来る。
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