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空いているカウンター席に座ったところで、隣にいる詩織さんが俺の袖をちょんちょんと引っ張って、
「あの、仁さん。一ついいですか?」
「どうしました?」
「そのですね…………十六夜さんでしたっけ。彼女とはどういう関係なんですか?」
あれ? 言ってなかったっけ?
「十六夜は―――」
「恋人です」
「―――ぶっ!!」
待て。
待て待て待て!!
「おま、お前なあ!! な、なに言ってんだ、こら!!」
十六夜の奴、俺と詩織さんの間に顔出して、なに言い出してんだ!?
「か、彼女さんでしたか。…………仁さんってお付き合いしている女性がいたんですね…………」
「ちょ、詩織さん、勘違い! それは完全な勘違いですからね! 十六夜は俺の幼馴染み。それ以外の何者でもな―――」
「裸の関係です」
「はっ、裸の関係なんですか!?」
「ば、馬鹿っ。変な言い方すんな十六夜! あのですね、十六夜の馬鹿は無視していいですからね!!」
とりあえず十六夜の奴を黙らせようとするが、一歩遅かった。
「一緒にお風呂入って、お互いの体を弄りあった関係です」
「え、ええ!?」
「ガキの頃に互いを洗いあっただけだろうがァああああああああ!!」
……………………………………………………。
「あれ?」
な、なんか詩織さんがすっげぇジト目で睨んでいるんですけど。
「へぇ。そんな、そんなことしてたんですか。裸、裸でねえ。へえ」
「えっと、怒ってます?」
「まさか。怒ってるわけないじゃないですか。ええ、子供の時のことですしね。ええ、ええ、そうですよね」
「詩織でいいんですよね」
十六夜は詩織さんの耳元に口を寄せて、
「私、この前、仁に着替え―――覗かれたんですよ」
「へぇええええええええ!!」
あ、あの馬鹿…………ッッ!!
あれは不可抗力っていうか親父さんに泊まっていけと誘われて、なんだかんだで偶然見ちゃっただけだってのに…………ッッ!!
本当のことだから、下手に言い訳すると、確実に追い詰められるじゃねえか!?
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