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「そういえば、近くに路地裏あったっけ」
一応、気になることならあるんだけどな。
例えば、どうして俺が桃色のワンピースを着た少女を探していることを知っていたのかとか。
この『声』はどこから聞こえてくるのかとか。
どうして俺はこの『声』に拒否反応を示しているのかとか。
まあ、
「世界は広いって言うし、気にしない気にしない」
考えてもわかんないし周囲には変人しかいないしこりゃさっさと用事済ませて詩織さんに癒されようそうしよう。
「路地裏、路地裏っと」
そんなわけで俺は変人共と目をあわせないように細心の注意を払いながら、近くにあった薄暗い路地裏へと入っていった。
「っていうか、変な声に従って路地裏入ったけど、よくよく考えればこっちにいるって確証があるわけじゃないんだよなぁ」
幻聴なんてオチだったら嫌だなぁ、なんて考えながら、汚れきった布やらプラスチックやらを踏みながら、数回角を曲がり、そろそろ諦めようかと思ったときだった。
―――俺は『異常』と直面した。
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