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「ァ…………?」
少女の口から赤い、赤い液体が吹き出していた。
ガチガチと、激痛からか、恐怖からか、震えている少女が赤く染まった唇を開く。
「…………に、げて…………」
「…………は?」
今…………なんて、言った…………?
「はやく、逃げ―――」
「おいおい。そんなつまんねえこと言ってないでよお! 悲鳴の一つでもあげて、楽しませてくれよ!!」
鈍い音が連続する。 人体を破壊する音が路地裏に響く。 『鬼』の握力が少女を破壊していく。
今、少女には俺が感じたこともない激痛が襲いかかっているはずだ。
なにもしなければ見逃して貰える俺と違って、なにをしたところで死を回避できない少女のほうが苦しいはずだ。つらいはずなんだ。
なのに、どうして…………ッッ!!
「は、やく…………にげ…………」
お前は助けを求めないんだよ?
それじゃあ、まるで―――
―――己の死と引き換えに俺を助けようとしてくれているみたいじゃないか。
「……………………、ちくしょうが」
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