第二章 たった一人の軍隊

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「仁!?」 『うおっ。いきなり大声出すなよ』 この、馬鹿…………私がこんな時間まで起きるほど滅茶苦茶心配させておいて『どうした?』だって…………? 「あんたねぇ~。今までどこでなにしてたのよっ」 『どこでって…………路地裏かな。俺も今さっき「起きた」ばっかでパニクってるんだよな』 「なに言ってるのよ」 『「右肩が元通りなんだよな」』 …………どういうこと? 『夢、にしてはやけにリアルだったしなぁ。そーいや、あの子は無事なのかな』 聞きたいことはあった。 言いたいことはそれ以上。 だというのに、 『ま、いいや。周囲には「誰もいない」し、路地裏なんてさっさと出ていきますか』 仁はどんどん進めていく。 そのことに私は言い様のない不安を感じていた。 まるで暴れまわる大型犬のリードから手を放すような感覚が広がっていく。 このままじゃ仁が私の知らない、どこか遠くに行ってしまうような嫌な感覚。 気がつけば、私は『それ』を振り切るように叫んでいた。 「仁! 今すぐ家に来なさい!」 『は?』 「ラーメン、そうラーメンよ! 注文しておいて食べないなんて許さないから!!」 『いや、明日…………、っていうか今日だが、今日の夕方くらいじゃ駄目なのか?』 「絶対駄目っ。今すぐじゃないと、えっと、釜茹での刑っ!!」 『ペナルティでかすぎだろ』 呆れたようにため息をついた仁は、仕方ないとでも言いたげに、 『まあいいや。俺も腹へってたし、近くにいるからすぐに行くけどいいよな?』 「う、うんっ」
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