第一章 日常から崩壊への道筋

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3 【霧島仁】 「さっむ」 黒の学ランっていうか、全身黒ずくめの俺に空から降り注いでくる雪が積もっていく。 朝起きて、着替えて、外出たら、辺り一面雪景色。 まあ、一二月も中盤だし、雪が積もるのも無理はないか。 「こりゃあ休校かな」 高校まで徒歩通学の俺と違って電車通学とかいるだろうしな。 …………一応確かめてみるか。 そんなわけで、最新って理由で買ったスマホ(もちろん黒)で完全無欠の幼馴染みに電話、と。 『…………なによ』 ひんやり冷たいスマホから不機嫌そうな幼馴染みの声が聞こえてくる。 この女、声と外面だけはいいくせに、親しい人間には感情隠そうともしねえんだよな。ってか、俺にだけ、なんか辛辣? まあ、別にいいんだけどな。 「よお、十六夜。今日、高校って休校なのか?」 『ホームページに休校って知らせがあったよ。だからついさっき二度寝に突入してたのに、起こすな、馬鹿仁』 「俺の名前は霧島仁だぞ、安藤十六夜」 『知ってるよ、馬鹿』 …………あの野郎、馬鹿馬鹿言って、切りやがった。 「まあいいや。なら、詩織さんのとこに行けるな」 朝っぱらから迷惑かもしれないけど…………、大人しく本でも読んでれば大丈夫だろ。
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