メメント・モリの複雑な考察

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 春です。  ……いや、ダジャレじゃなくって本当に春です。季節の話です。桜が咲いてたり散ってたりする四月です。  あたしはピンクの花びらが緑色の若葉に変化しつつある桜並木を走り抜け、ある場所に向かっています。  遅ればせながら。  あたしは仁科春(にしなはる)と言います。十七歳です。当然ながら女です。  容姿は……まあ、特筆することもない平凡な女子高生です。それで十分でしょう。強いて言えば暗めの茶髪を巻いてる、とかかな。  あ、でもこれ地毛なんですよ? よく先生に染めてるんじゃないかって言われるけど、元からこの色だし毛先がくるくるしてるのも癖っ毛だからです。それだけ。  えー、まああたしのプロフィールはそれくらいにして。  さっきも言ったけど、あたしは今ある場所に向かっています。いわゆるアルバイト先です。  あたしは四月から無事二年生になりました。それを機にってわけじゃないけど、ついこの間から喫茶店でアルバイトを始めました。それが、まあ、色々ありまして。
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